最後の十代の歳、
その頃、京都に住んでいた私は
学生しながら平安神宮のそばでバイトをしていました。
その日は遅番で、もぅすっかり暗くなって人気も無いバス停で
最終バスを待っていました。
ぼーっと待っていると、
三条方面からふらふらと歩いてくる人影が見えました。
サムイのようなものを着用された、やや千鳥足の坊主頭の男性でした。
ふらふら、ゆらゆら、でもどんどん近づいてきます。
暗がりの中で、座ってバスを待つ私に気付いた彼は、?となり
『 ここで何をしているんですか? 』
と聞いてこられました。
『 ・・バスを待っています。 』
『 え?バスなんてこないよ、一緒に帰ろう 』
『 来ます、最終バスがw 』
『 来ないよ、来ない来ない。一緒に帰ろう♪ 』
若いお坊さんでした。
20代半ば、といった感じ。
帰る方向は確かに同じみたいです。
地方のお寺の跡取りで、今は比叡山へ修行に来られていると。
でも時々下山して、少し遊びにもいかれるようです。
『 カツラもってる人もいるんだよ~(笑 』
え!?w
そんな立ち話をしつつ、
そんな悪い人ではなさそうだし
なにより、今思えば、
その時の私にはこの偶然はまさに天の采配でした。
というのも、
京都で暮らして 1年を過ぎたころです。
多数の宗教があふれる中で、勧誘やらお友達が入っちゃったとか
いろんな話がたくさんあって、一人もやもやとしていたところでした。
(彼にきいてみよう)
そう思いました。
なので、やや千鳥足ではありましたが
一緒に歩いて帰ることにしました。
単刀直入に聞いてみました。
『 あの、少し質問してもいいですか? 』
『 どうぞ 』
『 宗教ってなんなんですか? 』
彼はなんのためらいもなく、するりとこう答えてくださいました。
『 宗教っていうのはね、
今在る自分を『 有難いなぁ 』って思うことです 』
!
私は目の前がパーっと明るくなって
『 そうですよね!
それだけで十分ですよね。
それくらいシンプル!、
そうだそうだ! 』
本当にもぅ小躍り級に嬉しくなりました!
続けて質問しました。
『 ある宗教の中では
そこで推奨しているお題目が最高だといいます。
それは本当にそうなんですか? 』
『 たしかにそれは本当です。
仏教で説いた仏典の中では最高峰です。
それでもね、
そのお題目を唱えて、今在る自分を『 有難いなぁ 』と思えなければ
他の言葉でも構いません。
『 ありがとうございます 』でもいいし
『 お天道様 』でもいいし
『 おかあさん 』でも、なんでもいいんです。
人の気持ちは、一日のうちに ○○○○○回 (← とんでもない数字でしたw)
コロコロと変わります。
( 暑いな、)と思ったと思ったら
( お腹すいた )、
( あ、電話しなきゃ )とか
コロコロと何回も何回も移ろうのです。
そんな中で、一言口にするだけで、
今在る自分を 『 有難いなぁ 』って思い出せること、感謝することが
大事なんです。
それができればどんな言葉でもいいんですよ♪ 』
ヤタ━━━━━━ヽ(゚∀゚)ノ ━━━━━━!!!!
その後もいろんなお話をしながら
ちょっと肌寒い夜道をそぞろ歩いていきました。
お坊さんもさらにご機嫌になってきて
『 お好み焼きを食べに行こう! 』
え?
ということで、
帰る道すがら見つけたお好み焼き屋さんで
豚玉、エビ玉&ビールを囲んで
いろんなお話をして楽しいお夜食までご馳走になりました。
帰り道、いよいよ分岐点というところで
『 君はおもしろいね、
うちにお嫁さんにきてください。 』
と、人生初のプロポ―ズを受けました。
子供のころの夢はお寺の奥様、
お坊さんのお嫁さんでした。
檀家さんと調和の中、地域密着で暮らせたら楽しいだろうなぁと思っていました。
こんな形でやってくるとは。
でも・・
『 ぁ、ありがとうございます。
まだ学生なので
またご縁がありましたら・・w 』
そんな社交辞令?で、
言葉にできないくらいいっぱいの感謝と
お互い笑顔でさよならしました。
本当にありがとうございました。
その夜からすっかり迷いもなくなり
ココロがわらわらしなくなりました。
信念をもって、過ごせるようになったのです。
『 有難いなぁ 』
あの時は、本当に悩んでいました。
結構一人で泣いたりしたり。。
なんだか人に相談できなかった、
でも、ちゃんとみててくれる大いなる存在がいらっしゃる、
大切な時、必要な時に、
天の采配によってギフトが届くんだなぁと思いました。
悩んでいたことも、
それがあったおかげでこの経験ができて
ココロが救われた。
囲むすべての出来事に感謝できたことでもありました。
あれから随分時間が経ちましたw
今在る自分を 『 有難いなぁ 』って
この日のことを思い出すと、又そんな気持ちがこみ上げてきます。
きっと彼は、立派なお坊さんになって
檀家さんに親しまれていることと思います。
感謝!