ヒ カ リ ノ 雫

わたしたちはこの世界に生をうけた一滴のヒカリ。世界はヒカリの波紋。愛のヒカリで溢れますように。sachi ブログです。

白い杖 - 暗やみの色 -



白い杖、その後



白い杖(1)

白い杖(2)のつづき









ついこないだ、




良く利用する乗り換え駅のホームで
白い杖を見かけた。


若い女性。
ショートカット、30歳前後、と言う雰囲気。



駅のホームは狭くて
そしてもぅすぐすると電車がきて
どどーっと人が押し寄せる。

彼女は階段の降り口近くに立っていたので
余計に危険。



久しぶりだけど出来る、うん。





彼女の斜め背後から近づいて、そっと声をかける。

「もぅすぐ電車がきます。
    よろしければ一緒に乗ります。」


「お願いします。」



彼女の返事も即答だった。

彼女に分かるように片方の二の腕を差し出すと
手をまわしてこられた。


電車が到着して、人の波が押し寄せるのを回避しながら
落ち着いたところで乗り込む。


「扉の手摺近くでおねがいします」


彼女に言われた通り、扉の手摺近くに誘導すると
白い杖と逆の手でしっかりと手摺を握りしめて、
壁と椅子のコーナーにおさまるように静かに立たれた。


お手伝いはそこまで。

わたしの乗り変えまで、彼女を見届けるために
彼女の負担にならないように傍にたつ。



彼女は黒いダウンを着てた。

片側の胸元から、ふんわり立ち上がった襟もとに掛けて
白い鳥の群れが飛んでいる。
近くでみて気付き、とても素敵なのでしばし見とれてしまう。


彼女には、白い鳥の群れが大空に向かって羽ばたいている姿が見えたのだ。

私は市場で、こんな素敵なダウンを見つけられなかったけど
彼女は見つけられたのだ。

そして、とてもよく似合っている。







素敵な彼女をみて、思わず我に返った。



着てるもの、似合っているだろうか。

素敵なものを、ちゃんと見つけられているだろうか。

そういうことを、いつも大切にできているだろうか。







ヒカリをとらえる瞳は、
ココロとリンクして

ココロがクリアだと
瞳がとらえるヒカリも、わずかでも何倍にもなって照らす。
内側にヒカリを放つものだけ。




ヒカリは、瞳だけじゃなくて

肌や

指先や

嗅覚で

いろんなところで感じてて



時には瞳でとらえる以上に
五感を通して伝わり、更にココロのヒカリでフィルタリングする。


誰のココロも、最も深い部分はヒカリで満ちて、豊かで、純粋なのだ。

それがいつも隠れている。



彼女のところには、余計なヒカリがなかなか入ってこれないから
ココロの内側のヒカリと真っ直ぐにリンクするものを
無駄なく捕えるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

一遍の詩を思い出した。






『闇は光の母』      - 谷川俊太郎
 

    光がなければ目はなかった
    眼は光の子ども

    眼に見えるものが隠している
    眼に見えぬもの

    人間は母の胎内の闇から生まれ
    ふるさとの闇へと帰ってゆく

    つかの間の光によって
    世界の限りない美しさを知り

    こころとからだにひそむ宇宙を
    眼が休む夜に夢見る

    いつ始まったのか私たちは
    誰が始めたのかすべてを

    その謎に迫ろうとして眼は
    見えぬものを見るすべを探る

    ダークマター
    眼に見えず耳に聞こえず

    しかもずっしりと伝わってくる
    重々しい気配のようなもの

    そこから今もなお
    生まれ続けているものがある

    闇は無ではない
    闇は私たちを愛している

    光を孕み光を育む闇の
    その愛を恐れてはならない








※ 2005-2007 日本科学未来館で上映されたプラネタリウム「暗やみの色」 の為に
     谷川氏が参加アーティストとして書き下ろされた詩。
     レイハラカミのサウンドトラックにのせ、
     クラムボン原田郁子さんが歌うように語りかける。
  
     暗やみの色  Color of the Dark

 

  

 

暗やみの色

暗やみの色